ONE LOVEへのメッセージ

マガジン『ONE BRAND』の「犬が喜ぶペットマッサージ」、「ここ圧せ、ワンワン!」などの人気連載でもお馴染みの獣医師、石野孝先生は愛犬のための東洋医学を実践しておられます。犬の命を救うために日夜働いているお立場から、ONE LOVEプロジェクトに賛同いただきました。ペットのための東洋医学に興味を持たれたいきさつから、殺処分数を少なくするためのお考えまでお話を伺いました。
『ONE LOVE』はみんなが持つべき「愛犬家精神」や「愛情」。
1つの愛情が、1つのマナーを生み、1つの共存を生む。
これが『ONE LOVE』の想いです。年間、約12万頭ものイヌが保健所で殺処分されている現代日本。そこで「ONE LOVE」では、プロジェクト第1弾として、「イヌ・ステ・ゼロ」運動をスタートしています。そしてこれからも、単なるペットブームに乗るのではなく、成熟した「イヌとの暮らし」を実現するための情報発信とDonation(寄付活動)を行っていきます。
ONE BRAND(以下、O.B.) 石野先生は『かまくらげんき動物病院』の院長として数多くの動物たちに触れ合っておられます、その一方で日本ペットマッサージ協会・メディカルアロマテラピー協会動物臨床獣医部会の理事長としてもご活躍ですが、先生がペットマッサージを始められたきっかけは?
石野 私は20年ほど前に内モンゴルへ動物の鍼灸、漢方学を学びに行きました。そこで勉強したことを活かして、動物病院ではペットに針治療を行なっています。その中で、遠方に住んでいる飼い主さんから頻繁に治療を受けられないという相談が多かったんです。そこで飼い主さんがご自宅でも出来るケアをレクチャーしたことがペットマッサージの始まりなんです。
O.B. 内モンゴルでは当時から動物への鍼灸が一般的に行なわれていたのですか?
石野 馬や羊などを対象に行なわれているんですよ。大草原に医療器具を持ち込むよりも草木から漢方薬を作り出す方が手っ取り早かったのでしょう。僻地であったからこそ発展したんですね。
O.B. なるほど、内モンゴルでは馬や羊は人間が生きていく上では欠かせないパートナーですから、そのケアも発展したんでしょうね。獣医師の石野先生が鍼灸や漢方など東洋医学に関心を持たれた理由は何かあったのですか?
石野 私の父が人間の鍼灸をやっていたんです。それを子どもの頃は「恥ずかしい」と思っていたんですよ。なぜかと言うと、針を打ったから身体が良くなっているんじゃなくて『プラシーボ効果』じゃないの?って、子どもながらに思っていて。
O.B. 『プラシーボ効果』というのは気のせいということでしょうか?
石野 そうです。鍼灸って、加持祈祷や迷信の一種じゃないのって気持ちがあったんですよ。でも、相手が動物なら『プラシーボ効果』なんて無いでしょう?効いたか効かないかハッキリするなと思ったんですよ。それで産業動物相手の中国式の鍼灸を勉強したんです。そこで効果を確信したので、日本に戻ってからペット、犬猫に合うように改良しました。
O.B. 一般的な西洋医学に基づく治療では効果がみられないペットを連れてくる飼い主さんも多いのでしょうね?
石野 動物も14、5年生きるのが当たり前になってきていますから、人間と同様に足腰のトラブルに始まって癌や糖尿病、心臓病などの生活習慣病が非常に多くなってきているんです。それに対して従来の西洋医学のお薬だけでは対応できなくなってきているのが現状です。
O.B. 先生がモンゴルから戻られた当時、日本では犬猫に鍼灸という選択肢はなかなか受け入れられなかったのではないですか?
石野 20年前だと、まず同業の獣医師からも怪しいなと白い眼で見られていたことは確かですね。今と違ってホリスティックケアなんて発想も無かったですからね・・・。1990年代後半になって、西洋医学では対応できないことがあると人間の世界でも東洋医学に注目が集まりました。それに伴いペットにも東洋医学による治療をと考える人が出てきましたね。副作用が無いということで、動物に優しい治療としても注目され、今ではペットマッサージ協会の会員は1,000人くらいになりました。その人たちがまた裾野を広げてくれているんです。
O.B. 犬のために出来ることとして、メディカルマッサージが広がっていくことは素晴らしいですね。
石野 今後は、海外にペットマッサージやメディカルアロマを普及させていきたいと思っています。メディカルアロマはフランスが発祥の地なのですが、現地の動物病院のスタッフはほとんど知らないんですよ。だからフランス生まれ、日本発信のメディカルアロマ、中国生まれの鍼灸、ペットマッサージをペット先進国の日本から広めていきたいですね。飼い主さんが自分の手で触ってあげることがペットにとって癒しになる。健康の保持・増進に繋がる、治療の補助になるという事を伝えていきたいです。
O.B. 愛犬のためにマッサージを学ぶ飼い主さんがいる一方で、犬を捨てる人も沢山いて、年間10万頭以上の犬が殺処分されているという現実があります。犬の健康、命を扱っておられる石野先生のお立場からどのようにお考えでしょうか?
石野 現在は「狂犬病の注射」イコール「犬の登録」になっていますよね。以前に比べると狂犬病を予防することへの危機感が少なくなったので、注射しないという人も出てきています。それに鑑札を犬に付けている飼い主さんも少ないし、付けていても何らかのアクシデントで外れてしまうこともあります。ですから、獣医師の立場からもマイクロチップの装着を促進させたいと思います。固体識別が出来るようになることで、飼い主さんの責任感が生まれるんじゃないでしょうか?それが犬を捨てようとする人への抑制効果にもなるかなと思います。
O.B. なるほど。マイクロチップについては私たちも有効かなと思うのですが、犬の体内に異物を入れることに対して抵抗がある飼い主さんも多いのではないかと・・・。
石野 それはワクチン注射も同じことですよ。どちらも異物を体内に入れることでしょう?それが生物学的な異物で無い分、アレルギー反応はワクチンよりも少ないですよ。
O.B. なるほど。実際に先生の病院でもマイクロチップを入れたいという飼い主さんはいらっしゃいますか?
石野 希望者のほとんどは、海外に犬を連れて行くという飼い主さんですね。これは義務付けられていますから。マイクロチップを装着している犬の数が増えないのは、自分の犬だけ入れても・・・と考える人も多いのではないでしょうか。
O.B. 犬を捨てる人の抑制に繋がるだけではなく、保健所に収容される犬の半分以上は「捕獲(野良犬、負傷犬、迷子犬)」という実態を考えると、迷子犬の飼い主が分かるという点でもマイクロチップは効果的ですね。
石野 捨てる人が減って、迷子犬がきちんと元の家に戻ることが出来れば、殺処分数はかなり減らせますよね。そのためには、マイクロチップの装着を法的に義務化することが必要でしょうね。そうすることが一番良くて早い方法だと思いますよ。
O.B. そうですね、飼い主さんの意識を高めることにもマイクロチップは繋がりますね。
獣医師としてのお立場からのメッセージ、ありがとうございました。
