ONE LOVEへのメッセージ


白い背景にいるペットを魚眼レンズで撮影した作品「はなデカ」シリーズで一世を風靡したカメラマン森田米雄さんは、ペット写真の第一人者として現在も精力的に撮影をしていらっしゃいます。元々は犬が好きではなかったという意外な一面から、海外のシェルターで犬たちを撮影した際のエピソード、しつけの重要性についてもお話をうかがいました。
人と犬の明るい未来を作るプロジェクト ONE LOVE
日本では年間に44,783頭もの犬が殺処分されているという実態があります。(平成23年度 環境省発表)この現状に対して1頭でも多くの犬たちの命を救うために、動物保護団体への寄付や飼い主さんへの啓発、保護犬文化向上のための支援に取り組んでいます。
1人ひとりの小さな“ONE LOVE”を集めて大きな力にするために、私たちに出来ることから始めませんか。
ONE BRAND(以下、O.B.) 森田さんといえば、何といってもはなデカが思い浮かびますが、ずっと犬を撮影していらっしゃるんですか?
森田 元々はペットのカメラマンではなく海をテーマにして撮影していたのですが、15年くらい前に当時小学生だった息子が子犬を拾ってきたんです。その犬(クーちゃん)の写真を撮り始めたのがペットを撮るきっかけでした。今では犬が3頭、猫が12匹にウサギとニワトリがいます。
O.B. それはすごい、動物王国状態ですね。森田さんもペットがお好きだったんですね。
森田 かみさんが「犬が大好き」で、私が結婚した時には実家でボクサーを飼っていたんです。僕はそもそも犬ってそんなに好きじゃなかったんですよ。結婚前にかみさんの家へ遊びに行っても、その犬が僕には愛想が悪いんですよ。話題が全部僕のところに来ちゃうものだから、犬に嫌われていたんでしょうね。それにフィジーを旅行していた時に、何もしていないのにガブッと噛まれたりしたこともあったりして。でも最初に飼ったクーちゃんが、なんとも面白かったんです。それで撮影ということよりも、ペット全般が好きになったという感じですね。
O.B. なるほど、愛犬の存在がはなデカに繋がるんですね。
森田 私はフォトライブラリーの会社をやっていまして、当初はリゾート地など海の写真を提供していたんですけれども、バブルがはじけた後、海の写真に対する需要が減っていって。そんな時に最初に飼った犬、クーちゃんの写真がカレンダーやパズルになっていったんです。それからペットの写真のオファーが増えて、本格的にペットの写真を撮り始めたといった感じです。
O.B. はなデカの犬写真は沢山撮られてきた写真の中のバリエーションの1つということですね。
森田 そうですね、最初はデザイナーからのリクエストで顔が飛び出すような写真があれば良いなと思って、やってみたら結構上手く撮れちゃうんですよ。最初はウサギから始めて、次に猫、犬といった感じで。
初めて撮影したのが1998年の12月で、1999年にはポスターになったりしたのですが、ほとんどブレイクしなかったんですね。その後、2000年の2月に雑誌でちょっと出ただけなのに「これはなんだ」ってあちこちから問い合わせを頂いて火がついちゃったんですよ。やっぱりデフォルメの面白さが受けたんでしょうね。
O.B. なるほど。はなデカと言わずとも、愛犬の写真がうまく撮れないという方も多いと思うのですが、プロからの秘伝の技をひとつ伝授いただけますでしょうか。
森田 大事なのはしつけだと思うんです。犬は縦社会の生き物ですから、言うことを聞いてもらう為には、この飼い主さんの言うことなら安心して従おうという信頼関係を築くことが大切ですね。しつけの中にカメラを取り入れることは、そんなに難しくないです。例えばですね、おすわり・まて・よしをコントロールできるようになれば、後はオートフォーカスで焦点を合わせて撮るだけですから。しつけをしながら写真を撮るのはとても良いと思います。成長記録をつけることにもなりますからね。撮った写真は一生残りますから、犬が先立った後も、思い出すことで心にずっと残りますからね。
それに、犬も人間も全てが自由な空間で生きているわけじゃないからこそしつけが必要なのに、可哀そうだからって基本的なしつけをしない人がいるんですよね。それでいて犬が言う事をきかないからって保健所に出すようになったら、それこそ可哀そうだって事です。
O.B. 写真を撮るためではなく、犬を飼う上ではしつけ、主従関係を理解させないとお互いに不幸になってしまう、ということですね。
さて、先生の作品集を使ったアプリがiPhoneとiPadのアプリで配信されているそうですね。
森田 犬の写真だけで120点ぐらいありまして、色々な写真が入っているのですが、はなデカだけではなく鼻が長かったり、様々な角度から撮ったものもあります。
O.B. 色々な所で森田さんの写真が見られるようになったという事ですね。
さて、殺処分される犬をなくすことをテーマにONE LOVEプロジェクトは展開しています。森田さんは数多くの犬を撮影してこられていますが、何かお考えがおありでしょうか?
森田 そうですね。はなデカのプロモーションをニューヨークでやった時に、イベント会場とペットシェルターで撮影をしたんですよ。僕がその時に思ったことは、いつも撮っている犬たちとNYのシェルターにいる犬は、最初から何かが違うんですよね。これまでに虐待を受けたり、あるいは捨てられたりした経験があるからか、あまりにも神経質で、撮影用の白い紙の上に乗っただけで逃げ出しちゃいそうになって。あぁ、そうなんだな、と実感しましてね。特に犬の場合は、飼い主さんとの関係がいつも心にあるのに、それが無いわけですからやっぱり不安な気持ちになるんでしょうね。犬は自分を守ってくれる人を、いつも必要としているんでしょう。
今、日本の年間の殺処分数と言うのは6万頭ぐらいでしたっけ?
O.B. だんだん減ってきてはいるのですが、最新の環境省の発表だと犬は8万頭以上です。
森田 殺処分される犬たちのうち、家庭でちゃんとしつけされれば、そうならなかった犬たちも沢山いると思うんです。ですから、どうしたら犬と良い関係を作れるのか飼い主さんにわかってほしいですね。特に高齢の方が犬を飼うと、蝶よ花よと甘やかして問題を起こす犬になることがけっこう多いらしいんです。それで第三者や他のワンちゃんに危害を加えたら殺処分ということにもなりかねないですからね。ですから1つはしつけもありますし、1つは飼いたいんだけれど、その環境が無く終生飼育に責任を持っていない場合は、諦めることも命ある生物への愛情だと思います。その場合は私の写真を見て心を癒されて頂けたら嬉しいです。
O.B. 日本では新しい飼い主さんを探している保護犬たちが沢山いますし、その中から幸せになった犬たちもいるので、そういう犬たちもテーマにして頂けると嬉しいです。
どうもありがとうございました。