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ONE LOVE's mesasge  西川貴教

ONE LOVEへのメッセージ

西川貴教

ONE LOVE PROJECT

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ソロプロジェクト「T.M.Revolution」やロックバンド「abingdon boys school」での音楽活動のほか、ミュージカルや映画とその才能を遺憾なく発揮している西川貴教さん。小さい頃の少し苦い経験を胸に、トイプードルの「ウィ」さん(メス2歳)と暮らし始めたのは2年前から。国内外を飛びまわる多忙なスケジュールのなか、イヌと暮らすことの素晴らしさ、イヌが人に与えてくれるもの、そして私たちとイヌたちとをとりまく悲しい状況をも深いまなざしで語ってくれた。

『ONE LOVE』はみんなが持つべき「愛犬家精神」や「愛情」。
1つの愛情が、1つのマナーを生み、1つの共存を生む。


これが『ONE LOVE』の想いです。年間、約12万頭ものイヌが保健所で殺処分されている現代日本。そこで「ONE LOVE」では、プロジェクト第1弾として、「イヌ・ステ・ゼロ」運動をスタートしています。そしてこれからも、単なるペットブームに乗るのではなく、成熟した「イヌとの暮らし」を実現するための情報発信とDonation(寄付活動)を行っていきます。

面倒なことも含めて、命を引き受けていこうと思う。


ONE BRAND(以下、O.B.) 西川さんのような若い世代に影響力のある方にご賛同いただき、ONE LOVEプロジェクトも心強いかぎりです。

西川 ぼくも、このウィと暮らし始めて、いまイヌたちがペットブームの陰でどんな状況に置かれているのか、関心を持つようになりました。イヌは、たとえ小さくても命あるもの。それを、可愛いと思って安易に手に入れ、勝手な都合で責任を放棄する人も多いということですね。

O.B. 西川さんはソロ活動のほかバンド、舞台や映画など多忙にもかかわらず、ペットとの時間をとても大切にしていると伺いました。

西川 ええ。でもじつは、イヌを飼うなんて考えてもいなかったんです。実家にはぼくが小学生のころ、兄弟3人で飼い始めたポメラニアンがいたんですが、小さいときに熱を出したのが原因なのか、病弱なコだったんですね。そのうち高校に上がってぼくもバイトやバンド活動も始めていたので十分な世話をしてあげられなくて。ぼくがはやくに実家を出てしまったこともあって、最期を看取ってあげることもできなかった。だから妹たちと「もう家ではイヌは飼わない」と約束していたんですよ。それが一昨年かな、「イヌを飼いたいなぁ」という気持ちが突然、湧いてきたんです。ソロ活動とは別に自分のバンドを始めたり、舞台の仕事もあったりして、「バンドとしてはじめてのアルバムを作る」というプレッシャーのなかで、曲を作り歌詞を書いて歌ってレコーディングして……。気づいてみたら、自分のなかにあったものを全部出し尽くして"空っぽ"になったような気がしたんですね。そのとき、本当にたまたまイヌを紹介してくださる方がいて、お宅に伺って出会ったのがウィなんです。でも、特に「プードルが欲しい」と思っていたわけではなくて。巡り合わせですね。それまで「どんな犬種が流行っているか?」なんて知らなかったですし。ぼくにとってイヌのイメージといったら、まずはシェパード。小さい頃、祖父が飼っていたんです。祖父は警察官で警察犬をもらい受けたんだと思いますが、それこそ、ぼくが背中に乗れる大きさでしたね。

O.B. ウィさんが家にやってきて、どんな変化がありましたか。

西川 それまでは昼夜もなく、それこそ寝食を忘れて際限なく仕事をしていましたが、いまはどんなに忙しくても一度は家に帰る。疲れたからではなくて、このコが待っているから。この「家に帰る理由ができた」ということが、ぼくにとっていちばん大きな変化ですね。ウィも、ぼくが帰ったら遊んでもらえるんだということがわかっているから、ちゃんと待っていてくれる。ご飯をあげてこのコと遊んであげることが、ぼくにとって、1日の大事なリセットボタンになりました。

O.B. まさに家族ですね。でも、長いツアーのときには?

西川 さすがに不在が1週間以上ともなると、実家の母に頼んで来てもらいます。母親に頼みごとするのも、この歳になると気恥ずかしいんだけど、ウィを大義名分にして母もイソイソと東京に来てくれます。ぼくは、はやいうちに実家を出てしまったので、両親に甘えた経験もあまりなかったんだけど、このコがいるおかげで、いまになって母と一緒に食卓に向かったり。なんだか不思議な感じです。また、母がウィに接している姿を見て、「自分も小さい頃、こんなふうに育てられたのか」なんて、いままで思ったことがなかった角度から親の存在を考えたりもしています。

O.B. イヌは人間を写す鏡かもしれませんね。

西川 そうですね、人間と同じで、それぞれの"背景"が見えてきますよ。手を差し出すだけで怯えるようなイヌは、飼い主が厳しく躾ける人だってわかる。「いつも叩かれてるの!?」とか。逆に人見知りしないコは「本当に優しく自由に育てられているんだなぁ」とかね。それと同じように、ぼくにとってもスタッフやまわりのミュージシャン仲間から「一緒にいたら楽しそう」と思ってもらえるのは、すごくハッピーなこと。人間でも動物でも、やっぱり愛を投げかけてあげることが大事なんだって教えられますね。まあ、このコは会うと誰でも1回はペロペロして、ちょっとズルいんだけど(笑)。

O.B. なるほど、たしかに人づきあいはお上手なようです(笑)。

西川 しっかり母犬の愛情を受けてから飼い主のもとへ行く子犬はムダ吠えもしない。ところがペットショップに預けてしまったりすると、お店でほかのコが吠えているのを真似てムダ吠えを覚えちゃうと聞いたことがあります。

O.B. これだけイヌが身近になっても、案外、イヌについてわかっていないことは多いのかもしれませんね。

西川 やっぱりそれもイヌを"命"というより"商品"として扱っているせいですよね。このコももうじき2歳になるんだけど、避妊手術するかどうか考えているんですよ。メスだから年に2回はヒートがくる。でも「家具が傷むから避妊手術しよう」というのは人間の都合であって自然なことじゃないですよね。(手術しないと)女のコ特有の病気になりやすいからたしかに不安もあるけど、これからいろいろ面倒があっても、それを含めて引き受けていこうかなって思っているんです。

O.B. ところで、西川さんはクリエーターであると同時に有能なるプロデューサーです。私たちのこのプロジェクトをより多くアピールするためには何が必要でしょうか。

西川 ぼくたち日本人というのは、良識とかマナーに対するリテラシーはとても高いのに、ドネーション(寄付)とかボランティアとか、能動的に何かをすることにはすごく奥手だと思うんですよね。でも、これは命の問題だから税金とか制度で一元的に解決できるものでもない。いま、イヌたちの置かれている状況を「知る」ことも大事ですが、「普段、何気なくものを買ったり飲食しているおカネの一部が、命を助けるために使われている」というのがぼくらには似合っている方法かもしれませんね。



取材・構成/武田了  写真/河合昌英
取材協力/DOG GARDEN CAFE三宿店